イワシの手開き|包丁を使わない下処理
イワシは骨が柔らかく、包丁を使わずに指だけで開ける。この「手開き」を覚えておくと、まな板と包丁を出すのが面倒な日でも下処理ができる。数が釣れる魚なので、一匹あたりの手間が減る効果も大きい。慣れれば一匹30秒ほどだ。
なぜ包丁を使わないのか
イワシは骨が細く柔らかいので、指で押すだけで背骨と身が分かれる。無理に包丁を入れるより、指のほうがきれいに外れることも多い。
手開きの利点は他にもある。
- 洗い物が減る(まな板と包丁を使わない)
- 数が多いときに速い
- 力加減が指に伝わるので、身を余計に切り落とさない
- 包丁が使えない場所でも下処理できる
梅干し煮や蒲焼き、フライ、つみれなど、イワシ料理の多くは開いた状態から始まる。この工程を押さえておくと料理の幅が一気に広がる。
始める前に
手が冷たいほうが身が締まって扱いやすい。作業の前に手を冷水で冷やしておくといい。逆に、手が温かいまま長く触っていると身がゆるんで崩れやすくなる。
- ボウルに氷水を用意しておくと、途中で手を冷やせる
- 受け皿かバットを手元に置く
- キッチンペーパーを多めに用意する
鮮度が落ちた個体は身がゆるく、手開きにすると崩れる。届いたばかり・釣ったばかりのものほどきれいに開ける。傷んでいるものは無理をせず包丁を使う。
手順1:ウロコを落とす
イワシのウロコは非常に剥がれやすい。流水にあてながら、指の腹で尾から頭に向かって撫でるだけで落ちる。
運搬の途中でほとんど落ちてしまっていることも多いので、ざらつきが残っている場所だけ確認すれば足りる。
手順2:頭とワタを取る
- 胸びれの後ろに指をあて、頭を下に折る。骨が柔らかいので簡単に折れる。
- 折った頭をそのまま下へ引く。うまくいくと内臓が頭にくっついて一緒に出てくる。
- 残った内臓があれば、指でかき出す。
- 腹の中を流水で洗い、血合いを落とす。
内臓が途中で切れてしまっても問題ない。腹を指で裂いて中を洗えばいい。イワシの腹は薄いので、指だけで簡単に開く。
手順3:親指を入れて開く
ここが手開きの核心になる。
- 腹側を手前にして持つ。
- 背骨の上(腹の内側)に両方の親指を差し入れる。
- 背骨に沿わせたまま、尾のほうへゆっくり滑らせる。
- 親指が通った分だけ、身が左右に開いていく。
力を入れて押し広げると身が裂ける。骨の感触をなぞるように、力ではなく方向で動かすのがコツ。
途中で引っかかったら、いったん戻して角度を変える。無理に進めると身が割れる。
手順4:背骨を外す
- 開いた状態で、背骨の頭側の端を指でつまむ。
- 尾に向かって、ゆっくり引き剥がす。
- 尾の付け根まで来たら、そこで背骨を折って取る。
- 腹骨と背びれが残っていれば、指でつまんで引き抜く。
尾を残すかどうかは料理次第だ。フライや蒲焼きは尾を残したほうが見栄えがよく、つみれにするなら要らない。
仕上げ
開き終わったら、キッチンペーパーで水気をしっかり拭き取る。イワシは水っぽくなりやすいので、ここは省かないほうがいい。
小骨が気になる場合は、指で撫でて残っているものを抜く。ただしイワシの小骨は加熱すれば気にならなくなるので、フライや揚げ物にするなら神経質になる必要はない。
うまくいかないときは
- 身が崩れる → 鮮度が落ちているか、手が温かい。氷水で手を冷やす
- 背骨がきれいに外れない → 親指を滑らせる工程が浅い。もう一度背骨に沿わせ直す
- 腹側が裂ける → 力が入りすぎ。押すのではなく滑らせる
- そもそも折れない → 胸びれより頭側で折ろうとしている。位置を後ろにずらす
最初の数匹は失敗して当然だ。イワシは数が釣れる魚なので、練習台には困らない。
開いたあとの使い道
手開きにしたイワシは、そのまま多くの料理に使える。
- フライ、天ぷら
- 蒲焼き、生姜煮
- つみれ(包丁で叩くか、フードプロセッサーへ)
- 干物(塩水に漬けて一晩干す)
同じ手順は、アジやサンマなど骨の柔らかい魚にも応用できる。アジの場合はアジの下処理にあるとおりゼイゴを先に取る必要があるが、それ以外はほぼ同じだ。
まとめ
手開きは、覚えてしまえば包丁を出すより速い。頭を折る、親指を滑らせる、背骨を剥がす。この3つだけだ。
うまくいかないときはたいてい「力を入れすぎ」か「手が温かい」のどちらかが原因になっている。