カサゴの下処理|棘の外し方と煮付けまでの準備
カサゴは頭が大きく可食部が少ない魚だが、そのぶん身は締まって上品で、アラからよい出汁が出る。煮付けにすれば一匹で立派な一品になる。ただし捌く前にひとつ片付けておくことがある。全身に生えた鋭い棘だ。
まず棘を警戒する
カサゴは背びれ・腹びれ・尻びれ・エラ蓋に、針のように硬く尖った棘を持っている。素手でつかむと簡単に刺さる。
カサゴの棘そのものに毒はないとされる。それでも刺さると深く入り、傷口から細菌が入って腫れることがある。海の細菌による感染は治りが悪いことがあるので、軽く見ないほうがいい。
同じ根魚でも、ハオコゼ・アイゴ・ゴンズイ・ミノカサゴなどには毒がある。釣れた魚の種類に確信が持てないときは、素手で触らずフィッシュグリップを使う。
扱うときは次のようにする。
- フィッシュグリップかタオルで持つ
- 掴むなら下あごか、背びれを寝かせて背中側から包み込むように持つ
- 刺さったら傷口を絞って血を出し、流水でよく洗う。腫れや熱を持つようなら受診する
釣り場でやること
カサゴは生命力が強く、クーラーボックスに入れてもしばらく生きている。逆にいえば、締めずに放置すると長く暴れて身が疲れる。
- 釣れたらエラの付け根に刃先を入れて血を抜く。
- 海水と氷を混ぜた潮氷で冷やす。
潮氷の作り方や締め方は釣った魚の持ち帰り方にまとめてある。
カサゴは傷みにくい魚なので、青魚ほど神経質にならなくてよい。ただし冷やすこと自体は味に効く。
手順1:棘を切り落とす
台所での作業を安全にするため、捌く前にキッチンバサミで棘を落としてしまう。これをやるかどうかで作業の緊張感がまったく違う。
- 背びれを根元から切り取る。前半分の棘が特に硬い。
- 腹びれ・尻びれも切る。
- 胸びれは料理の見た目に関わるので、煮付けにするなら残してもよい。
煮付けで姿のまま出したい場合は、背びれだけ切っておいて残りは残す、という折衷でもいい。棘は加熱しても柔らかくならないので、食べるときの安全も考えて判断する。
手順2:ウロコを取る
カサゴのウロコは小さく硬く、体にしっかり張り付いている。アジのように簡単には落ちない。
- ウロコ取りを使い、尾から頭へ向かって細かく動かす
- 頭の上、エラ蓋の周り、ヒレの根元は取り残しやすい
- 流水をあてながらやると飛び散らない
煮付けにするとウロコの残りが口に当たるので、指で撫でてざらつきがなくなるまで確認する。頭も食べる魚なので、頭部のウロコこそ丁寧にやる価値がある。
手順3:エラと内臓を出す
煮付けにするなら頭は落とさない。頭を残したまま、エラと内臓だけを抜く。
- エラ蓋を持ち上げ、エラの上下の付け根を包丁の先で切り離す。
- エラをつまんで引き抜く。内臓とつながっているので、ゆっくり引くと一緒に出てくることがある。
- 腹を肛門から胸びれの手前まで切り開き、残った内臓をかき出す。
- 背骨に沿った血合いを、包丁の先や指で掻き出す。
唐揚げにするなら頭を落としてしまってもいい。その場合は胸びれの後ろから斜めに包丁を入れる。落とした頭は割って味噌汁に使える。
内臓と血合いは臭みの元になる。ここを丁寧にやるかどうかが、煮付けの仕上がりを分ける。
手順4:洗って水気を拭く
腹の中を流水でよく洗う。歯ブラシがあると、背骨まわりの血合いが落としやすい。
洗い終わったら、キッチンペーパーで表面と腹の中の水気を拭き取る。
水気が残っていると、煮付けの味が薄まり、揚げれば油がはねる。ここを省略しない。
煮付けの前に霜降りをする
カサゴを煮付けにするなら、湯にくぐらせる「霜降り」をひと手間かけると仕上がりが変わる。
- 魚をバットに並べ、上から熱湯を回しかける。表面が白くなればよい。
- すぐに冷水に取る。
- 指でこすりながら、残ったウロコ・ぬめり・血の塊を洗い落とす。
- 水気を拭く。
こうすると表面のぬめりと臭みが落ち、煮汁が濁らない。仕上がりの味が澄む。
熱湯を長くあてると身に火が入りすぎるので、かけたらすぐ冷水に落とすのがコツになる。
向いている料理
- 煮付け:定番。頭ごと煮て、頬肉まで食べる
- 唐揚げ:小型ならまるごと。骨まで食べられる
- 味噌汁・潮汁:アラから濃い出汁が出る
- 刺身:25cm以上の良型なら。身が締まって歯ごたえがある
小型が数匹釣れたときは、まとめて唐揚げにするのが手っ取り早い。頭も骨もそのまま食べられる。
カサゴのレシピはカサゴのページにまとめてある。
保存
カサゴは白身で傷みにくいほうだが、内臓を抜いていない状態では話が別になる。
- 当日〜翌日:下処理を済ませ、水気を拭いてラップで包み冷蔵
- 数日以上:下処理後に水気を拭き、ラップ+保存袋で冷凍(3〜4週間)
冷凍のやり方は釣った魚の冷凍と保存にまとめてある。頭付きのまま冷凍するとかさばるので、煮付け用に1匹ずつ包むか、頭を落として身だけにするか決めてから凍らせる。