釣った魚の冷凍と保存|家庭の冷凍庫でどこまでできるか
釣りは釣れるときにまとめて釣れる。その日に食べきれない分をどう保存するかで、翌週の食卓の質が決まる。冷凍は正しくやれば味をほとんど落とさないが、雑にやると一気にまずくなる。分かれ目は水気と空気の2つだ。
冷凍する前に下処理を済ませる
丸のまま冷凍するのは、いちばん避けたいやり方だ。理由は3つある。
- 内臓が残っていると、そこから傷みと臭みが広がる
- 解凍してから捌くことになり、身がゆるんで扱いにくい
- かさばるので冷凍庫を圧迫する
内臓とエラを抜き、可能なら三枚おろしまで済ませてから冷凍する。これだけで解凍後の使い勝手がまったく違う。
アニサキス対策としても、冷凍前の内臓処理には意味がある。詳しくはサバの下処理とアニサキス対策にまとめてある。
水気を拭く
冷凍で失敗する原因のほとんどがこれだ。
表面に残った水分は、凍るときに大きな氷の結晶になる。この結晶が細胞を壊し、解凍したときに旨味の含まれた水分(ドリップ)として流れ出す。パサついた食感になるのはこのためだ。
洗ったあと、キッチンペーパーで表面と腹の中を徹底的に拭く。「もういいだろう」と思ったところからもう一往復するくらいでちょうどいい。
包み方
- 水気を拭く。
- 1回分ずつに小分けし、ラップでぴったり包む。身とラップの間に隙間を作らない。
- 保存袋に入れ、空気を抜いて閉じる。
- 日付と魚種を書いておく。
小分けにするのは、使う分だけ解凍するためだ。一度解凍したものを再冷凍すると味が大きく落ちる。
日付を書くのは地味だが効く。書いていないものは、結局いつまでも冷凍庫に残る。
空気を抜く
袋の中に空気が残っていると、そこにあった水分が霜になり、身の表面が乾いてスカスカになる。これが冷凍焼けだ。腐っているわけではないので食べられるが、味も食感も明確に落ちる。
家庭でできる空気の抜き方は簡単だ。
- 袋の口を少しだけ開けたまま、水を張ったボウルに沈める。水圧で空気が押し出されるので、そこで口を閉じる
- ストローで吸い出す
- 真空パック器を使う(頻度が高いなら投資する価値がある)
水を使う方法は道具が要らないうえ効果が高い。まずはこれで十分だ。
早く凍らせる
ゆっくり凍るほど氷の結晶は大きくなり、細胞を壊す。逆に急速に凍らせるほど結晶は小さく、解凍後の劣化が少ない。
- 金属トレー(アルミバット)の上に置く。熱が速く逃げる
- 冷凍庫の急速冷凍機能があれば使う
- 一度にたくさん入れない。庫内の温度が上がって全体が遅くなる
- 食材どうしを重ねず、平らに並べる
アルミトレーは百円ショップのものでも効果がある。特別な道具は要らない。
解凍のしかた
凍らせ方より、解凍で失敗する人のほうが多い。
- 冷蔵庫に移して半日〜一晩:最も味が落ちない。基本はこれ
- 氷水に袋ごと沈める:30分〜1時間。急ぐときはこちら
- 流水:早いが、袋が破れていると水が入って水っぽくなる
- 常温:表面だけ先に傷むので避ける
- 電子レンジ:加熱ムラができやすい。どうしてもの場合のみ
常温での解凍は、細菌が増えやすい温度帯に長く置くことになる。特に夏場は避ける。
煮付けや汁物にするなら、凍ったまま調理してしまう手もある。解凍中のドリップが出ないぶん、かえって味が落ちにくい。
保存期間の目安
- 冷蔵(下処理済み・当日〜翌日):1〜2日。生食は当日中
- 冷凍(白身魚):3〜4週間
- 冷凍(サバ・イワシなど脂の多い青魚):2〜3週間。脂が酸化するぶん短い
- 干物にして冷凍:1ヶ月程度
これは「安全に食べられる期間」ではなく「美味しく食べられる期間」の目安だ。冷凍庫の温度やドアの開閉頻度でも変わる。
脂の多い魚ほど早めに食べたほうがいい。酸化した脂の臭いは、加熱しても消えない。
冷凍に向かないもの
- 刺身用として解凍後に生で食べる前提のもの(家庭用冷凍庫では品質を保ちにくい)
- 一度解凍したものの再冷凍
- 内臓を抜いていない魚
なお、アニサキス対策としての冷凍は別の話になる。この場合はマイナス20度で24時間以上という条件があり、家庭用冷凍庫では温度が届かないことがある。詳細はサバの記事を参照してほしい。
まとめ
冷凍で押さえるのは4点だ。下処理を済ませる。水気を拭く。空気を抜く。早く凍らせる。
そして解凍は冷蔵庫でゆっくり。これだけで、釣った日の魚が数週間後もきちんと美味しく食べられる。