タイの下処理|硬いウロコの取り方と兜割り
タイは姿も味も申し分ない魚だが、下処理の難易度はアジやイワシとは別物になる。ウロコは硬くて盛大に飛び散り、骨も硬い。逆にいえば、この2つに対処法さえ持っていれば、あとは他の魚と同じだ。
タイが手ごわい理由
タイの下処理でつまずくのは、たいてい次の3点になる。
- ウロコが硬く大きく、力を入れると台所じゅうに飛び散る
- 骨が硬く、普通の包丁では頭が割れない
- 体高があるので、まな板と包丁のサイズが足りないことがある
つまり技術より段取りの問題が大きい。ウロコの飛び散りをどう抑えるか、頭をどう割るか。この2つを先に決めておけば作業は速い。
釣り場でやること
- 釣れたらエラの付け根に刃を入れて血を抜く。タイは血が多く、残すと生臭さが出る。
- 海水を張ったバケツに数分入れて血を抜き切る。
- 潮氷に入れて冷やす。体高があるので、魚が完全に浸かる量の潮氷を作る。
刺身にするつもりなら血抜きは省略しない。加熱調理でも、血が残った身は臭みが出る。
潮氷の作り方や血抜きの位置は釣った魚の持ち帰り方に図解つきでまとめてある。
手順1:ウロコを取る
タイのウロコは硬く、勢いよく飛ぶ。無策でやると壁・床・服にまで散る。対策は3つある。
- ポリ袋の中で取る:大きめの袋に魚を入れ、袋の中に手を入れて作業する。いちばん手軽で効果が高い
- 水を張ったボウルやシンクの中で取る:水がウロコを受け止める。飛ばないが手元は見えにくい
- すき引き:包丁で皮の表面を薄く削ぐ。飛び散らず仕上がりも良いが、慣れが要る
家庭でやるなら袋の中が現実的だ。新聞紙を敷くだけでは飛散は止まらない。
取り残しやすいのは、頭の周り、腹びれの根元、背びれの際、尾の付け根。指で撫でてざらつきを確かめる。皮ごと食べる料理にするなら特に丁寧にやる。
手順2:エラと内臓を出す
- エラ蓋を持ち上げ、エラの上下の付け根を切り離して引き抜く。
- 腹を肛門から頭側へ切り開く。
- 内臓を取り出す。
- 背骨に沿った血合いを、包丁の先や指で掻き出す。
- 腹の中を流水でよく洗い、水気を拭く。
タイの内臓は他の魚より量が多い。血合いも厚いので、歯ブラシがあると掻き出しやすい。
手順3:頭を落とし、兜に割る
頭は捨てずに割って使う。兜煮や潮汁にすると、身より濃い旨味が出る。
- 胸びれの後ろから斜めに包丁を入れ、裏返して同じ角度で入れて頭を落とす。
- 頭を立てて置き、上あごの中心(前歯の間)に出刃の刃元を当てる。
- 包丁の背を手のひらか木槌で叩き、少しずつ押し進める。
- 硬いところで止まったら、包丁を抜いて角度を変えて入れ直す。
無理に力任せで叩かない。刃が滑って手を切る。硬いと感じたら一度抜いて、位置を少し変えて入れ直すほうが安全で速い。
出刃がない場合は、頭を割らずにそのまま煮ることもできる。頬肉と目の周りは割らなくても食べられる。
割った頭は、エラの残りを取ってから塩をふり、しばらく置いてから熱湯をかけて霜降りにすると臭みが抜ける。
手順4:三枚におろす
- 頭側を右、背を手前にして置き、背びれの上から背骨に沿って浅く切り込みを入れる。
- 同じ線をなぞりながら、少しずつ深く切り進める。
- 腹側も同様に、腹びれの下から切り込む。
- 背骨の上を通して包丁を差し込み、身を離す。
- 裏返して同じ手順で二枚目を取る。
体高があるので、一度で切り離そうとしないことが重要になる。背側と腹側から別々に切り進め、最後に中央でつなげる。
腹骨は包丁を寝かせて薄く削ぎ取る。血合い骨は骨抜きで抜くか、細く切り取る。タイの血合い骨は太いので、骨抜きより「切り取る」ほうが確実なことが多い。
皮を活かす:松皮造り
タイの皮は旨味があり、刺身でも皮つきで食べられる。ただし生の皮は硬いので、湯をかけて柔らかくする。
- 皮つきの柵をまな板に置き、上から布巾をかぶせる。
- 熱湯を回しかける。
- すぐに氷水に落とす。
- 水気を拭き、皮目に細かく切り込みを入れてから切る。
皮の表面が松の樹皮のように見えることから松皮造りと呼ばれる。皮の香りと身の甘みが同時に来るので、新鮮なタイが手に入ったら一度は試す価値がある。
アラを捨てない
タイは可食部の割合が高くない魚だが、アラの価値が高い。
- 頭:兜煮、潮汁
- カマ:塩焼き
- 中骨:潮汁、タイめしの出汁
- 腹身の薄い部分:塩焼き、みそ汁
アラは使う前に必ず霜降りをする。塩をふって20分ほど置き、熱湯をかけてから冷水で洗う。これで血の塊とぬめりが落ち、汁が濁らない。
タイのレシピはタイのページにまとめてある。
保存
- 当日:柵のまま、キッチンペーパーで包んで冷蔵。刺身は切る直前まで柵で置く
- 翌日:ペーパーを取り替えて冷蔵。白身は1〜2日置くと旨味が増す
- 数日以上:柵を1回分ずつラップで包み、保存袋に入れて冷凍(3〜4週間)
タイのような白身は、釣った当日より翌日のほうが旨味が乗る。当日は歯ごたえ、翌日は旨味と考えて食べ分けるといい。
冷凍のやり方は釣った魚の冷凍と保存にまとめてある。