管理釣り場の魚の持ち帰り方|淡水では潮氷を使わない
管理釣り場は手ぶらに近い装備で行けるのが魅力だが、そのぶん持ち帰りの準備を忘れやすい。しかも海釣りの定番である潮氷は、淡水では使えない。ここでは管理釣り場で釣ったニジマスを、味を落とさず家まで運ぶ手順をまとめる。
淡水魚に潮氷を使わない理由
海釣りでは、クーラーボックスに海水と氷を入れた「潮氷」に魚を沈めるのが基本になる。冷たい水は空気より圧倒的に速く熱を奪うので、魚を短時間で芯まで冷やせるからだ。
ところが管理釣り場ではこれができない。海水が手に入らないうえ、真水の氷水に魚を浸けると身が水を吸ってしまうためだ。
魚の身と真水では塩分濃度が違う。濃度の低いほうから高いほうへ水が移動するので、真水に浸けた魚の身は水を吸って膨らむ。焼いても揚げても水っぽく、身がぼやけた仕上がりになる。海水魚を海水の潮氷に入れるのが理にかなっているのは、濃度が近く、この移動が起きにくいからだ。
「氷水に浸ければ冷える」は淡水では逆効果になる。淡水魚は濡らさずに冷やすのが原則。
海で釣った魚の持ち帰りについては、釣った魚の持ち帰り方にまとめてある。潮氷の作り方や氷焼けの防ぎ方は、そちらを参照してほしい。
行く前に確認しておくこと
管理釣り場には、その釣り場ごとのルールがある。受付やサイトで先に確認しておくと現地で困らない。
- 持ち帰れる匹数の上限(放流量に応じて決まっていることが多い)
- リリース専用エリアかどうか(区画によって扱いが違う釣り場がある)
- 内臓処理場・洗い場の有無(これがあるかどうかで持ち物が変わる)
- 氷や保冷剤の販売があるか
- 釣った魚の持ち帰り用の袋がもらえるか
内臓処理場がある釣り場なら、現地で腹を抜いて帰れる。これができると味の落ち方がまったく違うので、あるなら必ず使いたい。
持ち物
- 小型のクーラーボックス(10L前後で足りる)
- 保冷剤または板氷(溶けて水が出にくいものが望ましい)
- ジッパー付きの保存袋、またはビニール袋
- キッチンペーパーか新聞紙
- 小型のナイフ(現地で締める・腹を抜く場合)
海釣りのような大型クーラーは要らない。ニジマスは20〜30cm程度なので、数匹なら10Lで十分収まる。
釣ったらすぐ締める
生きたまま袋に入れて放置するのが、いちばん味を落とすやり方だ。魚は暴れているあいだに体内のエネルギーを使い切り、身に血と乳酸が回る。これが生臭さと身の柔らかさの原因になる。
ニジマスのサイズなら、締め方は次の2つで足りる。
- 首折り:エラ蓋のすぐ後ろを持ち、頭を背側へ強く折り曲げる。背骨が折れて即死する。道具が要らないので管理釣り場ではこれが手軽。
- エラ切り:エラ蓋を持ち上げ、付け根に刃先を入れて切る。そのままバケツの水に数分入れておくと血が抜ける。
刺身にはしない魚なので、そこまで神経質になる必要はない。ただし「締めずに放置しない」の一点だけは守る価値がある。
エラの切る位置は釣った魚の持ち帰り方に図解がある。海水魚の図だが、切る場所は淡水魚でも同じだ。
できれば現地で腹を抜く
内臓処理場のある釣り場なら、締めたあとに腹を抜いてしまう。手順は簡単だ。
- 肛門に刃先を入れ、頭のほうへ腹を切り開く。
- 内臓を指でつまんで引き出す。ニジマスの内臓はまとまって取れる。
- 背骨に沿った黒い血合いを、指の腹か爪でこすり落とす。
- 水でさっと洗い、水気を切る。
内臓は消化酵素と細菌の供給源なので、残したまま持ち帰ると身の傷みが速い。現地で抜けるなら抜く。これが淡水・海水を問わず、味に効く一番大きな一手だ。
洗ったあとは長く水に浸けない。ここでも身が水を吸う。さっと流してすぐ水気を拭く。
袋に入れてから冷やす
淡水魚を冷やすときの構成は「魚は乾かし、冷気だけを伝える」が基本になる。
- 魚の水気をキッチンペーパーか新聞紙で拭く。
- 1匹ずつ、またはまとめてビニール袋・保存袋に入れる。
- クーラーボックスに保冷剤を敷き、その上に袋ごと置く。
- 上からも保冷剤を当て、袋が直接氷や保冷剤に触れる面が偏らないようにする。
袋越しでも冷気は十分に伝わる。魚を直接氷に当てると、触れた部分だけが凍って白く変色する(氷焼け)ので、袋を一枚はさむ意味はここにもある。
保冷剤が足りず板氷を使う場合は、溶けた水がクーラーの底に溜まる。そこに袋が沈むと結局水に浸かることになるので、水抜き栓を開けておくか、底に新聞紙を敷いておく。
帰宅後にやること
家に着いたらそのまま冷蔵庫に入れず、ひと手間かける。
- 現地で腹を抜いていなければ、ここで抜く。
- 流水でぬめりと血合いを洗う。ニジマスは体表のぬめりが多く、これが臭みの元になる。指でこすりながら洗い流す。
- キッチンペーパーで表面と腹の中の水気を拭き取る。
- その日に食べるならラップで包んで冷蔵、後日ならラップ+保存袋で冷凍。
冷凍のしかたは釣った魚の冷凍と保存にまとめてある。水気を拭いてから包む、空気を抜く、早く凍らせる。この3点は淡水魚でも同じだ。
淡水魚は生で食べない
管理釣り場のニジマスを刺身で食べるのは避けたほうがいい。淡水魚には、海水魚とは別の寄生虫のリスクがある。
サケ・マス類には日本海裂頭条虫(サナダムシの一種)が、淡水魚全般には顎口虫や横川吸虫が寄生することがある。これらは海水魚のアニサキスと違い、人の体内で長く生存したり成虫になったりするものも含まれる。
「養殖だから安全」と言われることもあるが、餌や飼育環境によってリスクの有無は変わる。市販の「サーモン」が生で流通しているのは、生食用の管理と冷凍処理を経ているからであって、釣り場の魚がそれと同じ状態にあるわけではない。
したがって、ニジマスは加熱して食べるのが基本になる。塩焼き、ムニエル、ホイル焼き、唐揚げ。どれも身の淡白さが活きるので、加熱料理でも物足りなさはない。
アニサキスなど海水魚側のリスクについてはサバの下処理とアニサキス対策にまとめてある。
まとめ
淡水の持ち帰りで押さえるのは3点だ。真水に浸けない。締めて、できれば現地で腹を抜く。袋に入れてから保冷剤で冷やす。
海釣りの潮氷ほど強力に冷やせないぶん、内臓処理と水気の管理が効いてくる。管理釣り場は自宅から近いことが多いので、この3点を守れば十分に美味しく持ち帰れる。