スズキの下処理|皮の引き方と磯臭さの抜き方
スズキは身近な大物で、60cmを超える個体も珍しくない。上品な白身で刺身にもフライにも向くが、二つだけ気をつける点がある。エラ蓋がカミソリのように鋭いことと、釣れた場所によって臭みが出ることだ。
エラ蓋で手を切らない
スズキのエラ蓋の縁は非常に鋭く、素手でつかむと簡単に切れる。釣り場でも台所でも、掴む位置に注意する。
掴むときは下あごを持つか、フィッシュグリップを使う。エラ蓋に指を差し込むのは避けたい。
背びれにも棘があり、こちらも刺さると痛い。カサゴほど鋭くはないが、暴れているときは油断できない。棘の扱いについてはカサゴの下処理にまとめてある。
釣り場でやること
- エラの付け根に刃を入れて血を抜く。スズキは血が多く、白身に血が回ると台無しになる。
- 海水を張ったバケツで数分血を抜き、潮氷に入れる。
- 大型で入りきらない場合は、袋に入れてから氷を当てる。
白身は血の色が目立つので、血抜きの丁寧さがそのまま見た目に出る。刺身にするつもりなら、ここは省略できない。
潮氷の作り方は釣った魚の持ち帰り方にまとめてある。
臭みは釣り場で決まる
スズキは河口や港湾など、水質の影響を受ける場所でよく釣れる。同じ魚でも、釣れた場所によって臭いの強さが変わる。
- 外洋や潮通しのよい場所の個体:臭みはほとんど出ない。刺身向き
- 河口・汽水域の個体:やや泥臭さが出ることがある
- 港湾の停滞した水域の個体:臭みが強く出ることがある。加熱調理向き
臭みが気になる個体は、血抜きと皮の処理を丁寧にやると軽減できる。臭いの多くは血、ぬめり、皮に由来するためだ。
- 血抜きを釣り場で確実にやる。
- 捌く前に、体表のぬめりを塩でこすって洗い流す。
- 皮を引いて調理する。
- それでも気になるなら、酒や生姜を使う料理(ムニエル、アクアパッツァ、ソテー)にする。
刺身にするなら、臭みの少ない個体を選ぶのがいちばん確実だ。無理に生食にこだわらず、加熱調理に回すという判断も味のうちになる。
手順1:ウロコとぬめりを取る
スズキのウロコは中くらいの硬さで、ウロコ取りで問題なく落ちる。タイほど飛び散らない。
先にぬめりを処理しておくと作業が楽になる。塩を全体にふって手でこすり、流水で洗い流す。ぬめりが取れると包丁も滑りにくくなる。
取り残しやすいのは、頭の周り、背びれの際、腹びれの根元。
手順2:頭と内臓
- 胸びれの後ろから斜めに包丁を入れ、裏返して同じ角度で入れて頭を落とす。
- 腹を肛門から切り開き、内臓を取り出す。
- 背骨に沿った血合いを掻き出す。
- 腹の中を流水で洗い、水気を拭く。
頭はアラ汁や潮汁に使える。スズキの頭は大きく、出汁がよく出る。使う前に霜降り(塩をふって熱湯をかけ、冷水で洗う)をしておくと臭みが残らない。
手順3:三枚におろす
大型なので、背側と腹側から別々に切り進める。手順はブリと同じだ。
- 背を手前にして、背びれの上から背骨に沿って浅く切り込む。
- 同じ線を3〜4回なぞって深くする。
- 腹側からも同様に切り進める。
- 背骨の上に包丁を寝かせて差し入れ、身を外す。
- 裏返して二枚目を取る。
大型魚の三枚おろしの詳しい進め方はブリ・ハマチの下処理にまとめてある。
腹骨を薄く削ぎ、血合い骨を骨抜きで抜けば柵の完成になる。
手順4:皮を引く
スズキの皮は厚くて丈夫で、そのぶん引きやすい。刺身にするなら必ず引く。
- 柵を皮目を下にして、まな板の手前側に置く。尾側を左に向ける。
- 尾側の端の皮と身の間に、包丁の先を少し入れる。
- 出た皮の端を左手でしっかり持つ。
- 包丁を寝かせてまな板に押しつけるようにし、皮を左手で引っぱりながら包丁を前へ滑らせる。
動かすのは包丁ではなく皮のほうだ、と考えるとうまくいく。包丁は角度を保ったまま、ほとんど動かさない。
包丁の刃を上に向けると身を削ってしまう。刃はまな板に向けて寝かせる。
引いた皮は捨てずに、湯引きして刻んで和え物にしたり、パリパリに焼いて食べることもできる。
洗いにする
夏場のスズキは「洗い」にすると身が締まって美味しい。氷水で身を締める刺身の食べ方だ。
- 皮を引いた柵を、薄めのそぎ切りにする。
- 氷水にさっとくぐらせる。長く浸けると旨味が抜ける。
- 身がくるりと縮んだらすぐ引き上げ、水気をしっかり拭く。
- 酢味噌やポン酢で食べる。
脂の乗った魚には向かないが、スズキのような淡白な白身にはよく合う。臭みがやや気になる個体でも、洗いにすると食べやすくなる。
保存
- 当日:柵のままキッチンペーパーで包んで冷蔵
- 翌日以降:ペーパーを取り替えて冷蔵。白身なので1〜2日置くと旨味が乗る
- 冷凍:柵を1回分ずつラップで包み、保存袋へ(3〜4週間)
大型で一度に食べきれないので、最初に刺身用・焼き用・汁物用を分けてしまうと扱いやすい。
スズキのレシピはスズキのページ、冷凍の詳細は釣った魚の冷凍と保存にまとめてある。