三枚おろしの基本|どの魚でも同じ5つの手順
三枚おろしは、魚が違っても手順は変わらない。背から切る、腹から切る、中骨の上を通す。この3つの繰り返しで、上身・下身・中骨の三枚になる。難しく感じるのは手順が多いからではなく、一度で切ろうとするからだ。
うまくいかない原因はほぼ2つ
三枚おろしで失敗する原因は、たいていこの2つに絞られる。
- 包丁が切れない:身を切るのではなく押し潰すことになり、断面がぼろぼろになる
- 一度で切り離そうとする:深く入れすぎて中骨を割ったり、浅すぎて身が骨に残る
逆にいえば、よく研いだ包丁で浅い切り込みを何度も繰り返せば、それだけでかなりきれいにおろせる。慣れないうちは3〜4回に分けるつもりでいい。
包丁の選び方と研ぎ方は出刃包丁の選び方と研ぎ方にまとめてある。
手順1:ウロコ・頭・内臓
三枚におろす前に、下処理を済ませておく。ここが雑だと、あとの工程で身が汚れる。
- ウロコを尾から頭に向かって落とす。
- 胸びれの後ろから斜めに包丁を入れ、裏返して同じ角度で入れて頭を落とす。
- 腹を肛門から切り開き、内臓を出す。
- 背骨に沿った血合いを掻き出し、流水で洗う。
- キッチンペーパーで水気を徹底的に拭く。
水気を拭かずに次へ進むと、まな板の上で魚が滑って危ない。仕上がり以前に安全の問題になる。
手順2:背から切る
頭側を右、背を手前にして置く。背びれの少し上に包丁を当て、背骨に向かって浅く切り込みを入れる。
- 1回目:皮を切る程度の浅さで、頭側から尾まで線を引く。
- 2回目:同じ線をなぞって少し深くする。
- 3回目:背骨に当たる感触が出るまで深くする。
包丁は寝かせすぎず、まな板に対して45度くらいの角度で入れる。骨に当たったらそれ以上押し込まない。
手順3:腹から切る
魚を回して腹を手前にする。今度は腹側から同じ要領で切り込む。
腹骨があるので、背側より抵抗がある。無理に押し切らず、骨の上を滑らせるように包丁を進める。
背と腹の両方から切り込みが入ると、身は中骨の上でだけ繋がった状態になる。
手順4:中骨の上を通す
ここが山場になる。包丁を寝かせ、中骨の上面に沿わせて滑らせる。
- 刃はまな板と平行に近い角度まで寝かせる
- 骨に当てながら滑らせる。骨から浮くと身に骨が残る
- 押さずに引く。刃元から切っ先へ、包丁の長さを使う
- 左手は身を軽く押さえるだけ。引っ張り上げない
尾の付け根まで通ったら片身が外れる。裏返して、同じ手順をもう一度繰り返す。
手順5:腹骨と血合い骨
- 腹骨を削ぐ。包丁を寝かせ、骨の下に差し入れて薄く削ぎ取る。身を厚く落とさないよう浅く。
- 血合い骨を処理する。骨抜きで真上に抜くか、骨の両側に切り込みを入れて細く切り取る。
骨抜きで抜くときは、斜めに引っ張ると身が裂ける。骨の向きに沿って、まっすぐ引き抜く。
血合い骨は魚によって太さが違う。アジやイワシは細く抜きやすいが、タイやブリは太いので切り取るほうが確実なことが多い。
大名おろしという選択肢
背と腹から切らず、頭側から尾に向かって中骨の上を一気に通すやり方を大名おろしという。
- 利点:速い。手順が少ない
- 欠点:中骨に身が多く残る。歩留まりが悪い
- 向くのは:サンマ・イワシ・キスなど、細長くて骨の細い魚
大名という名前は「もったいない切り方」という皮肉から来ている。数が釣れる小魚をまとめて処理するときには合理的だが、タイやブリのような魚には向かない。
うまくいかないときは
- 中骨に身が残る:包丁が骨から浮いている。骨に当てながら滑らせる
- 身が崩れる:包丁が切れない。研ぐ
- 断面がぼろぼろ:押して切っている。引いて切る
- 皮が破ける:切り込みが浅く、皮だけ残っている
- 身が骨まで切れてしまう:一度で深く入れすぎ。浅い切り込みを繰り返す
- 手が滑る:水気が残っている。ペーパーで拭く
最初の数匹は中骨に身が残って当然だ。残った中骨はアラ汁や潮汁に使えばいいので、練習の失敗も無駄にはならない。
魚ごとの注意点
- アジ:先にゼイゴを取る。アジの下処理
- サバ:傷みが速いので手早く。サバの下処理とアニサキス対策
- タイ:ウロコが硬く体高がある。背と腹から別々に。タイの下処理
- ブリ:大きいので道具とまな板から。ブリ・ハマチの下処理
- イワシ:包丁を使わず手で開ける。イワシの手開き
手順そのものはどの魚でも同じなので、1種類できるようになれば他の魚にも応用が利く。